ここではThinkAgainの目次、要約を載せています。
目次
Part1 自分の考えを再考する方法
Chapter1 今、自分の「思考モード」を見直せ ― あなたの中にいる牧師、検察官、政治家、そして科学者
- マイク・ラザリディス
- 子供の頃にレゴと輪ゴムでレコードプレーヤーを作る
- 高校生のときにコンピューターの組み立てなどで大学初年度の学費に相当するを稼いだ
- 映画フィルム用のバーコードリーダーで特許取得、ハリウッドに評価されエミー賞およびアカデミー賞の科学技術賞を受賞
- ブラックベリー(スマートフォン)を開発
- 2009年夏にアメリカのスマホシェアの半分を占める
- 2014年には1%以下に急落してしまった
- ブラックベリーの発想はスマホ革命の火付け役になったが、固定観念に囚われ考え直すこと(Think Again)ができなかった。創意力が枯渇した
- 目まぐるしく変化する世界では、考える時間と同じくらい考え直す時間を確保する必要がある
- 再考する=能力や技能であると同時に物の見方、心構えである
「化石化した知識」を後生大事にしていないか?
- 情報技術の進歩に伴い、2011年、情報摂取量は四半世紀前に比べて5倍に増加した
- 医療の知識
- 1900年から50年で倍増した
- 1980年までには7年ごとのペースで、2010年までにはその半分の歳月で倍増するようになった
- ⇒社会の変化の速度に伴い、より頻繁に、それまで当たり前と信じていたことを疑問視すべき
- これは難しいこと
- ある考えを信じると、その考えは強く凝り固まっていくため
- 冥王星が惑星でないことを未だに受け入れられない
- ティラノサウルスにはカラフルな羽があった
- 視覚障害者は音波で視覚野を刺激し周囲の世界を自覚しそれを頭の中に築く(コウモリと同じ原理)
- ある考えを信じると、その考えは強く凝り固まっていくため
- これは難しいこと
- ヴィンテージとして価値が出る物を除き、最新でない事実は捨て去られるべき
- 他人の見解であれば、人は目ざとく再考の必要性を指摘できる
- セカンドオピニオンなど
- だが自分の知識や見解は正しいかではなくフィーリング(直感的に正しいかどうか)を物差しにしがち
- 誰を雇うか?誰と結婚するか?など、多くのことをいろんな基準で判断する必要がある
- ⇒自分に対するセカンドオピニオン=客観的に見る、第二の見解をもつことを習慣付ける必要がある
- リタイアメントファンドの話
- スティーブン・グリーンスパン
- 友人のファイナンシャル・アドバイザーに勧められた。友人自身も投資していた
- 投資に詳しい友人は、リスクが大きいと警告した
- 姉がファンドを始め、満足な収益を上げていて、姉の友人数人も始めている
- 貯蓄の1/3を投資した
- バーナード・マドフが行っていたポンジスキーム。騙された
- スティーブン・グリーンスパン
- 医療の知識
牧師、検察官、政治家――誰もが持つ「三つの思考モード」
- フィル・テッドロック
- 人の思考様式は、考えたり話をするときに無意識に3つの思考モード…牧師、警察官、政治家に切り替わる
- 信念がグラついているときは牧師の思考モードになり、理想を守り確固としたものとするために説教する
- 他者の推論に矛盾を感じれば警察官の思考モードに切り替わり、相手の間違いを明らかにするために論拠を並べる
- 多くの人を味方につけたいときは政治家モードになり、支持層の是認を獲得するためにキャンペーンやロビー活動を行う
- そこには潜在的な危険
- それらの思考モードでは自分の信念を貫くこと、他者の過ちを指摘すること、多くの支持を獲得することに没頭するあまり「自分の見解が間違っているかもしれない」などと再考しなくなるから
- 人の思考様式は、考えたり話をするときに無意識に3つの思考モード…牧師、警察官、政治家に切り替わる
- グリーンスパン姉弟がバーナード・マドフの運営するファンドに投資を決めたとき、3つの思考モードが揃って誤った判断に導いた
- 姉は牧師のように、弟にファンドの利得を説いた
- その言葉を根拠に、警告してくれた友人を「度胸がない」と非難した
- GOサインをかける政治家のように自身を納得させた
- ファイナンシャルアドバイザーは古くからの友人でいいやつだ。がっかりさせるべきではない
- グリーンスパンは心理学者であり、騙されやすい人の研究を行っていて、なぜ人は騙されるのか?という本を書いているときにポンジスキームの被害にあった
- グリーンスパンの反省
- 姉から聞いた利回りを鵜呑みにするのではなく、ファンドの投資戦略を体系的に分析するべきだった
- 信頼できる筋からより多くの見解を得て、様々な観点から評価すべきだった
- 多額の前に長期少額で投資するべきだった
- ⇒グリーンスパンは科学者の思考モードを持つべきだった
仮説、実験、結果、検証――科学者のように考えてみる
- 科学者は、自分の理解の限界を常に意識することが役目
- 知っていることを疑い、知らないことを深掘りすることが求められる
- 科学者の思考的枠組みー説教も不正探しも政治活動も行わない、全く異なった思考モードをもつこと
- 一般人でもトレーニングによって科学者のように考えることができるだろうか?
- より賢明な選択をするようになるだろうか?
- 新興企業の創立者たちをターゲットに実験
- 4ヶ月のトレーニング
- 対象群と比較して2倍以上のスピードで利益を生み出した
- 比較対照群は当初のビジネス戦略に執着し続け、良い結果が出なかった
- そのほうがずっと楽だったから
- 過去の決定事項の価値を唱え(牧師の思考)、代替案の欠点を追求し(検察官の思考)、既存の運営方式を好むアドバイザーの意向に沿ってロビー活動を行った(政治家の思考)
- それとは対照的に、科学者のように考えるよう教えられた起業家は、倍以上の頻度で戦略を変えた
- 当初の仮説が立証されなかったときは、ビジネスモデルを見直した
- 比較対照群は当初のビジネス戦略に執着し続け、良い結果が出なかった
- 優れた戦略化は注意深い科学者のように時間をかけ、臨機応変に考えを改める
- マイク・ラザリディスはブラックベリーを開発当初、科学者のように考えた
- もし親指だけでタイピングができたら?メールボックスが自動同期されたら?
- iPhoneが出現してもラザリディスは信念を崩さず、ブラックベリーの機能にこだわり続けた
- 「人々が求めているのは仕事用の端末で、ホームエンターテイメントアプリを搭載したポケットサイズのコンピューターではない」と信じて疑わなかった
- 1997年に優秀なエンジニアチームの一人からインターネットブラウザを加えることを提案されていたが、ラザリディスはEメールの開発だけに焦点を絞るよう命じた
- 10年経っても、パワフルなインターネットブラウザバッテリーを消費し、ワイヤレスネットワークの帯域幅に負担をかけると確信し、他の可能性や仮説を試してみようとしなかった
- 2008年に企業価値評価は700億ドルを超えていたが、ブラックベリーは同社唯一の製品であり、未だに信頼できるブラウザを備えていなかった
- 2010年に複数の社員がテキストメッセージの暗号化機能を含める案を提案したが、ラザリディスは「競合製品上でメッセージをやり取りすることになればブラックベリーは陳腐化してしまう」と難色
- ワッツアップを1900億ドル規模に成長させたチャンスを逃した
「脳の処理速度」と「思考の柔軟性」の関係
- 知能指数が高いほどパターンを早く見つけ出してしまうため、既成概念に囚われやすい
- 頭の回転が早い人ほど、信念を改めるのに苦労する
- 数学の達人
- 優れた分析力が発揮されるのはデータの内容が当たり障りのないものである場合
- 強い感情を引き起こすイデオロギー的な問題ーアメリカの銃問題などーは例外
- 分析専門家がより結果を正確に解釈できるのは、その結果が自分の信念を裏付けるときだけ
- データくランチング(大量のデータを処理し、意味のある情報に加工すること)がうまい人ほど、自分の見解と相反する思考様式の分析では失敗する
- リベラル派であれば、銃規制の欠点を示す証拠を吟味する際、人よりも苦労する
- 保守的な人であれば、銃規制の効果に関する根拠を正しく評価できない
- 自分が予期するものを見る確証バイアス、見たいものを見る望ましさバイアスが起こる
- ミハイ・チクセントミハイの研究
- ライナ・スポーリングやジョナス・ソークなどの著名な学者について研究した
- それらの学者が卓抜しているのは、認知的柔軟性ー1つの極端からもう一方の極端へ臨機応変に移行する積極的意欲に依るところが大きい
- 偉大な大統領を際立たせていたのは、知的好奇心と寛容さだった(専門家が歴代大統領を考察した)
- あらゆるジャンルの書物を読み、国内外の政策だけでなく、生物学、哲学、建築学、音楽、新しいアイデアに喜んで耳を傾け、古い見解を改めた
- 職業上の肩書は政治家だったが、科学者のように問題を考察し、解決した
- ライナ・スポーリングやジョナス・ソークなどの著名な学者について研究した
「自分を疑う」という最強・最大の知性
- 知的に謙虚であることー無知を自覚することから始まる
- 欠けている知識をリストアップするといい
- 欠点を自覚することで懐疑への道が開かれる。欠けている知識を問うことで、自分が持たない情報に対する好奇心が生まれる
- 謙虚さを保てる
- 科学的な思考の美徳
- 自尊心よりも謙虚さ、確信よりも懐疑、無関心よりも好奇心
- 科学者の思考モードを解除すると再考サイクルは崩れ、過信サイクルが展開する
- 牧師モード
- 真実がすでに見つかったと思い込み知識のスキマに気づかない
- 検察官
- 自尊心は確信を生み、疑いを消し去る。その確信が検察官にする。検察官になると他者の意見を変えることに全力を注ぎ、一方で自分の見解は決して変えない。確証バイアスと望ましさバイアスが入り込む
- 政治家
- 周囲の人ー両親、上司、同級生など好感を与えたい相手ーから賛同を得られない意見を無視したりはねつけたりする。
- 自分をよく見せることに気を取られ真実は背後に追いやられ、是認や称賛を得られたことで高慢になる
- 地位、名声、力に執着するファットキャット症候群ー成功により自己の無能さを認めなくなり、機会を見失う精神状態ーに陥り、現状に満足し、自分の考えを疑うことも信念を試すこともしなくなる
- 牧師モード
- 欠けている知識をリストアップするといい
- ブラックベリーでラザリディスは過信サイクルに陥った
- 大当たりした発明で自尊心が強まり、確信も強まった
- キーボードに執着し、タッチスクリーンを歯牙にもかけなかった
- ブラックベリーの利点を説き、アップルを非難した
- 自社株が下落しても確証バイアスと望ましさバイアスから抜け出せず、過去のファン層からの称賛にこだわった
- 数百万人の既存ユーザーの好みに執着し、数十億の潜在ユーザーへのタッチスクリーンの訴求力を軽視した
- キーボードに執着し、タッチスクリーンを歯牙にもかけなかった
- 大当たりした発明で自尊心が強まり、確信も強まった
- 確信という自分が作った罠から抜け出せなくなることがある
- 再考を拒むのではなく促すこと
- アップル
- ジョブズはiPhoneに反対だった。従業員チームが提案した
- iPodを携帯電話に変える案をジョブズに売り込んだ
- 音楽プレイヤー機能を備えた携帯が他社で開発され始めていて、ニーズは高まるとチームは予測したため。
- ジョブズは罵倒した
- うまくいっているiPod事業の売上を損なうことを危惧した
- 携帯会社に不信感を抱いていた。自身の携帯電話で通信制限やアプリのクラッシュが起こるたび叩きつけて粉々にしていた
- プライベートでも公の場でも、携帯電話は絶対作らないと何度も断言していた
- それでもチームは水面下でリサーチを行い、何度もジョブズに未知に目を向けるよう説得し、信念を見つめ直すよう促した
- 既存のものにこだわる人には、変わらずに残るものを提示するのが有効。人はその一部に古いもの、継続するものが含まれていれば新しい構想を受け入れやすくなる。戦略が進化してもアイデンティティは持ちこたえる。
- 「誰もがこぞって欲しがるようなスマートフォンを作ることができるはずです。我が社のやり方に合わせるキャリアもきっと見つかります」
- 「我々の会社を携帯電話会社にするつもりはありません。既存の製品に電話機能を加えるだけですよ」
- ジョブズは罵倒した
- 発売から4年後、iPhoneの売上はアップルの売上の半分を占めるようになった
- 現在まで、スマホの根本的なところはiPhoneの登場から変わっていない
- 音楽プレイヤー機能を備えた携帯が他社で開発され始めていて、ニーズは高まるとチームは予測したため。
- iPodを携帯電話に変える案をジョブズに売り込んだ
- ジョブズはiPhoneに反対だった。従業員チームが提案した
- ラザリディスが新しい考えを受け入れ製品を見直していたら…
- 知識の欠点は時として未知を受け入れたがらないところ
- 人は新しいことを受け入れる能力や積極的な意志があってこそ、よい判断ができる
- 人生において見直すこと、考え直すことはますます重要な習慣になっていく
- アップル
- 再考を拒むのではなく促すこと
Chapter2 どうすれば「思考の盲点」に気づけるか ― 「自信」と「謙虚さ」のバランスの取り方
- ウルズラメルツの入院
- 頭痛、めまい、背中の痛みなど生活に支障が出た50代の裁縫師
- 生活や仕事に支障が出た。枕元に置いたコップがわからなかったり、寝室のドアがどこにあるかわからない
- ガブリエル・アントン医師
- ウルズラの前に赤いリボンとハサミをテーブルの上に置くと、ウルズラは何であるかは言えなかったが「そこにあるものが見える」と言った
- 視力が著しく失われていたが、「全てがみえる」とアントン医師に話した
- 完全に失明しても、ウルズラに自覚がなかった
- 「重度の視覚障害、その後の完全失明に、患者が全く気づいていない」
- 類似の症例があり、患者の言動で特徴的なのは、自らの経験から学ぶ能力が欠如していること
- 歩き回って角にぶつかっても行動様式を変えない
- 視覚障害を指摘されても見えないことを否定するか、「部屋が暗すぎる。照明を付けてください」「メガネを忘れました。視力はもともと良くないですが問題なく見えます」
- 患者は視覚障害の説明もその他の証も受け入れようとしなかった
- 視覚病態失認はアントン症候群と呼ばれていて、後頭葉の損傷で発症する
- 健康な脳を持っていても、アントン症候群のような状態に陥るのでは?
- 知識や考えには盲点がある。思考の盲点は、「人を、見えていないことを見えない状態」にする
- 自分の判断力に誤った自信を持つようになり、「自分の考えが間違っているかもしれない」と考えることさえしなくなる
- 対処法は、正しい種類の自信をもつこと
- 曇りのない目で自分を見つめ、考え方を改善するよう学ぶことができる
- 自動車教習所で習ったように、盲点を知ること、ミラーやセンサーを使って克服すること
- 曇りのない目で自分を見つめ、考え方を改善するよう学ぶことができる
- 対処法は、正しい種類の自信をもつこと
- 自分の判断力に誤った自信を持つようになり、「自分の考えが間違っているかもしれない」と考えることさえしなくなる
- 知識や考えには盲点がある。思考の盲点は、「人を、見えていないことを見えない状態」にする
能力の「過大評価」と「過小評価」から生じるもの
- ハッラ・トーマスドッティル
- Facebookで、ハッラがアイスランドの大統領選に出馬するよう嘆願している人がいた
- ハッラはレイキャビク大学の創設に携わり、さらに投資会社も共同設立していた
- 2008年の金融危機で主要銀行3社が債務不履行、アイスランドは通貨が暴落し、世界最大レベルの大きな経済危機に陥った
- ハッラの会社は彼女のリーダシップにより危機を乗り越えられた
- それでも彼女は「大統領の器じゃない」と考えていた
- そんな、自分がインポスター(周りを欺く人)になった気分は、子供のころにもあった
- ピアノの腕を認められ演奏会に出るたびに「そんな実力はない」と演奏会前に吐き気を催した
- 成人し実績を重ねても自分に自信がもてなかった
- 多くの友人に大統領になるべきと言われても「自分は大統領候補の器ではない」と頑なに信じていた
- 変わりに出馬するよう知人の女性らを説得した(そのうちの1人はアイスランドの首相の地位まで上り詰めた)
- ハッラへの期待の声はやまず、彼女の心もほぐれていき、出馬した
- 勝算は0。無所属で無名、20数名の競争相手。
- ある経済学者は、アイスランドを経済危機に陥れた戦犯にダビードオッドソンただ一人だと挙げた
- 1991~2004年にかけてアイスランドの首相を務め、銀行を民営化して危険に晒した
- TIME誌ではリーマン危機を引き起こした25人のうち、オッドソンの名があった
- 「私には経験と能力がある」
- 人が自らのリーダシップ能力を評価するとき、女性は過小評価し、男性は過大評価する研究結果
- アームチェアクオーターバック症候群
- アメフトなどで、観戦者があたかも監督より知識があるような口ぶりをする。非難する。
- 能力を遥かに上回る自信を持った状態
- ダビードオッドソンは経済危機を招いた張本人と非難されても、自信の能力が欠けていることを認識しようとしなかった
- インポスター症候群
- 優秀であるが自信に欠ける
- 有能さを示す証拠があるにも関わらず、「成功に値しない人間だ」と思っている
- 自身の知性、想像力、魅力にまるっきり気づいていない
- 懸命に説いても見方を変えない
- ハッラとオッドソンは対極的な盲点を持っていた
- 自分の思考パターンを変えられないという点は共通していた
- 理想的な自信レベルは、アームチェアクオーターバックとインポスターの間にある
- どうすれば適正な自信レベルを見つけられるか?
- アームチェアクオーターバック症候群
ダニング=クルーガー効果――〝知ったかぶり〟に気をつけろ
自信過剰の最高峰「マウント・ステューピッド」
「傲慢」にも「卑屈」にもなるな
「不安」や「自己否定の感情」を持つメリット
「努力して前進できる人」が心がけていること
Chapter3 「自分の間違い」を発見する喜び ― なぜ「過ちに気づく」ことはスリリングな経験なのか
あなたの考えを支配する「内なる独裁者」
誰もが陥りやすい「愚かなこだわり」から自由になる方法
個人的感情に流されるな、固定観念を捨てよ
「外から入ってくる情報」に心を開いているか
ジェフ・ベゾスが言う「正しい判断ができる人」の条件
なぜ「ミスを潔く認める人」ほど評価が上がるのか
Chapter4 「熱い議論」(グッド・ファイト)を恐れるな ― 「建設的な対立」の心理学
「対立を避けてしまう心理」が革新を妨げる
「挑戦的なネットワーク」――耳の痛い意見がもたらすもの
〝非協調的なギバー〟からの指摘は「愛の鞭」
意見が合わない時に「理性的に反論」できるか
熱くあれ、だがカッとなるな
「口ゲンカ」ではなく「討論」を
〝自分の見解への固執〟の見つめ直し方
Part2 相手に再考を促す方法
Chapter5 「敵」と見なすか、「ダンスの相手」と思うか ― 議論の場で相手の心を動かす方法
「完璧な論理」 と「正確なデータ」 だけでは人の心は動かない
「一流の交渉人」だけが心得ている四つのポイント
「相手を圧倒する」よりはるかに大事なこと
「多すぎる論拠」が逆効果になる時
「自分のことを丸めこもうとしている」と思われないために
相手に「自分で決める余地」を与える効果
NYウォール街の重役を前に私がキレてしまった話
「確信のない意見」を強く表現するよりも
「自分の弱点に気づける洞察力」という強み
- 敵とみなして理論で攻めると相手は思考を変えなくなってしまう
- よりよいのは、共通の認識を口に出し確認したうえで、指摘したい点を伝える
- 相手が感情的になればなっただけ、こちらは相手への関心を強くアピールすべき
- 感情的な相手と冷静な自分が浮き彫りになる
- どのような証拠であれば納得できますか?
- 確信をオモテに出しすぎないこと
- 自分は間違っているかもしれないという態度を出すことで、自身と謙虚さをバランスよく示し、相手の好奇心をそそり、微妙な差異について話し合う方向にコマを進められる
- 説得力を与えられる研究結果(陪審員)
- これらはディベートだけでなく、信念の主張、擁護にも使える
- 再就職のカバーレターを書いたミシェルの例
- 自分の欠点をさらけ出してから(要項を満たしていないことなど)、自分の長所を2~3書き出した
- 予期される拒否反応を先手を打って封じた
- 謙遜や自慢する人より、自身の最大の欠点を認める志願者により興味を持つ研究結果
- 遅かれ早かれ聴衆は欠点を見つけ出す
- 自分の欠点をさらけ出してから(要項を満たしていないことなど)、自分の長所を2~3書き出した
- やるべきこと
- 考えるのではなく、聴衆に問を投げかけること
- 同じ観点から見つめ直すよう聴衆をいざない、自ら考えるよう導く
- ダンスと見なすなら、足並みを揃えて前進する方法を一緒に見つけることができる
- 相手は何に主眼を置くのかを見極める
Chapter6 「反目」と「憎悪」の連鎖を止めるために ― 相手の「先入観」「偏見」とどう向き合うか
ヤンキース vs レッド ソックス ─ ─「 宿敵」 への 根深い 悪感情
「当たり障りのないこと」でさえ敵意が生じる時
どうすれば「宿敵への憎悪」を崩せるか
仮説1「双方の共通点」を認識させる
仮説2「他者への思いやり」を強調する
仮説3「敵意は理不尽である」と気づかせる
「反事実的思考」で固定観念を捨て去れるか
「紋切り型に当てはめる」より「面と向かった対話」を
黒人ミュージシャンと白人至上主義者の対話
- 過信サイクルの打破はどうするか?KKKの話
- レッドソックスとヤンキースの話
- レッドソックスのファンがヤンキースの失敗を見ると、報酬系(喜びに関する脳の部位)が即座に活発になった
- アディダスとプーマ
- 同じブランドだったが分裂した。会社の住所が近いため市民が争っている
- アディダス派とプーマ派で行く店が決まっている(アディダス派のパブとか)
- なぜ人はライバルに対して固定観念を抱くのか?
- 自校のフットボールチームが勝つと、自校の校章を付けて歩き回る学生が増える
- 「自分たちが勝った!」
- チームが負けると「チームが負けた…」
Chapter7 「穏やかな傾聴」こそ人の心を開く ― 相手に「変わる動機」を見つけてもらう方法
- はしかの予防接種を打たない地域のマリーさん(母親)
- 科学を信用していない人たち。ワクチンは危ない
- 罰金刑、罰則、科学的な話
- 逆効果だった
- 罰金刑、罰則、科学的な話
- 病院が軽視している
- ワクチンウィスパラー(ささやく人)
- 科学的思考の余地で親と対話する
- ワクチンウィスパラー(ささやく人)
- 科学を信用していない人たち。ワクチンは危ない
「動機づけ面接」――自力で変われるように導くアプローチ
- アルコール依存者
- ミラーさん「アルコール依存者は飲んではいけないことを十分に理解している。酒を飲むななどというと頑なになる」
- クライアントに問を発し話を効く
- 動機づけ面接(ミラーとノルディック)
- 人々を変えようとするのではなく、自力で変わるように手助けをすることが効果的
- ボルデモートを支持するおじさんへの対話
- 彼らが過信サイクルから抜け出せるよう、新しい可能性を見つけられるよう手を貸すこと
- 再考サイクルが作動し、科学的思考で物事を見るようになる
- 自分の知識不足に対する謙虚さが生まれ、自分の思い込みを疑問視するようになり、別の見解に対する好奇心も湧く
- 再考サイクルが作動し、科学的思考で物事を見るようになる
- 動機づけ面接は3つの技術からなる
- 開かれた質問を投げかける
- 聞き返しを行う
- 変わろうとする意思を是認する
- ワクチンウィスパラーのアルノー医師
- 1時間以上かけて、マリーエレンがワクチン摂取をさせなくなった経緯知るために質問を投げかけた
- ワクチンの安全性に関して紛らわしい情報があまりに多く出回っていることを認めた
- マリーエレンは子供全員に予防摂取を受けさせた
- 「アルノー医師は判断を私に委ねてくれた。子供の最善を考えていると認め、判断を尊重してくれた。その言葉は勲章のようなもの」
- たった1回のワクチンウィスパラーとの対話で…
- 出産後の母親のうち当初72%→87%が摂取の意思を示した
- 2年後の2回めの摂取も9%上昇した
- 効果があることが認められ、ワクチンウィスパラーに保健省が数百万ドルを投入
説き伏せることもアドバイスも必要ない
- 動機づけ面接の効果の数々
- 動機づけ面接の研究の75%が、行動の改善において統計的、印象的に優位であることを示す
- 心理学者、医療従事者は「対象者のうち8割の確率で行動改善がうまくいく」
- 行動科学でこれほど効果が上がっているものはない
- 人が行動改善をしないのは、外部からのプレッシャーを感じたり、決断を他人に操作されていると感じる
- 動機づけ面接を行うときは、自由意志を守るために、指示や助言を与えるのではなく、本人が変わりたい方向を見いだせるように質問する
- これらの方法は私には有効だったのですが、あなたにとっても役立つものだと思いますか?
- 動機づけ面接を行うときは、自由意志を守るために、指示や助言を与えるのではなく、本人が変わりたい方向を見いだせるように質問する
「コンサルティングの現場」での応用例
- 私達は他者に考えを改めてほしいとき、大抵直感的に自分から話し始める
- 社長の行動改善
- 潰れそうな会社、変わることに消極的な社長
- 他コンサル3人は続かなかった
- リーダーシップについての斬新な発想を探している
- 「あなたがどのように会社の舵をとるべきか、私は決める立場にありません」「あなたにとってリーダシップとは?」
- 体系的な決断を下すこと、考え抜かれた戦略をもつこと。リンカーン、スティーブ・ジョブズ。
- 「それらの指導者の素晴らしいところは?」⇒明確なビジョン、ひらめきを与え、数々の偉業を達成した
- その通りですね。スティーブ・ジョブズがあなたの立場だったらどんなことをしたと思いますか?⇒首脳部を奮い立たせ、大胆なアイデアを出させ、プレゼンテーションで聞き手を引き込み、アイデアを現実化させる
- 社長のスピーチは失敗だった
- 効果的かつ具体的な変革について本人が考えるよう手助けしなかったから
- 維持トークとチェンジトーク
- 現状維持を思考する発言
- 希望、能力、ニーズやコミットメント…自ら行動修正に向けて語ること
- 人は行動や考えを変えたい時相反する感情を持つ。変わりたい願望と現状維持したい願望。
- 動機づけ面接を開発したミラーとノルディックの推奨
- まず質問を投げかけて、維持トークに耳を傾けチェンジトークを引き出したのち、なぜ・どのように対象者が自分を変えていきたいか質問を投げかける
- 禁煙を例に:友人が禁煙をしたいと言っている場合
- なぜ禁煙したいのか?⇒「医師に勧められたから」
- 医者の意見に対してどう考えてる?⇒「○○」(友人が自主的に禁煙を決意する理由を挙げた)
- それを実行するための最初のステップを尋ねる
「相手を操る」のではなく「相手の最善を願う」
- 動機づけ面接の4つ目の技術
- 「要約」
- 対話の最後と、面接者の発言が維持トークからチェンジトークに映っていったポイントでに使用がおすすめ
- 目的:変革の理由について、理解したことを説明し、聞き逃していないか、誤解していないかを確認する 本人が考える次のステップについて問うこと
- 狙い:リーダーやフォロワーにならず、ガイド役に徹すること。海外旅行のツアーガイドのようなもの(ミラーとオルディック)
- 誰だって旅先であれこれ指図されたくないし、ついてこられても困る
- 経営者のジェフが経営ビジョンに言及したことで有頂天になってしまい、その内容や実現する方法に問を発しなかった。
- スピーチを行うべきかどうか、いつやるかを本人が考えるよう導いたが、具体的な内容について尋ねなかった
- やり直せるなら、どうスピーチするか、そのスピーチをチームがどう受け止めるかを尋ねる
- 良いガイド役=考えや行動を変えたいと思っている人に常に寄り添い、手助けを途中でやめない
- スピーチを行うべきかどうか、いつやるかを本人が考えるよう導いたが、具体的な内容について尋ねなかった
- 「要約」
- 親やメンターは相談者のことを「わかっている」と思い込むことが多い
- 動機づけ面接で他者を操ってはいけない
- 人は「影響を及ぼそうとする外部の圧力」を察知する高度な防衛メカニズムを持っている
- 説き伏せようとすると察知され、異なった解釈をされる
- 目標達成を支援したいという純粋な願いが必要
- 人は「影響を及ぼそうとする外部の圧力」を察知する高度な防衛メカニズムを持っている
「相手を正してやりたい……」この反射をどう抑えるか
- ベティ・ビゴンベ
- ウガンダ出身
- 苦労してウガンダ政府の高官に
- 反政府武装勢力リーダーとの和平交渉任務
- リーダー、ジョセフコニー
- 戦争犯罪人(10万人殺害、3万人の子供を拉致)
- ベティが女性と知るとリーダーは話し合いを拒否
- やがてコニーは、ベティをマミーと呼ぶようになり、ジャングルを離れ和平会談にも応じるようになった
- 決裂に終わったが、コニーが会談に応じたことが歴史的快挙
- 「説得したりなだめたりしないこと。ただ耳を傾けること」
- 熱心に耳を傾けるとは、控えめに話すという意味を超えたもの
- 傾聴とは、質問するスキルと応答するスキルが一体となったもの
- 相手を避難したり自分を正当化したりするのではなく、相手の関心に強い関心を持っていることを示す
- 純粋な好奇心に基づいた質問を投げ掛かけることが必要
- 相手が考えを明確に表現できるよう手助けをすれば当事者全員に良い結果をもたらすことができる
- 私達は、牧師や、警察官や、政治家の思考モードに陥る(自分の信念を説き、相手の過ちを列挙し、弁舌をふるう)
- 動機づけ面接のエキスパートは、この「正したい反射」の衝動を抑えている
- ベティは隔絶された地域を歩き回り、説教ではなく話を聴くことが目的だと訴えた
- 彼女の好奇心、自信を備えた謙虚さにウガンダの人は驚いた
- それまでにやってきた仲裁人は「戦いをやめろ」と言っただけだった
- 新しい解決法の提示、古い解決法の問題点や欠点を挙げた
- ベティは焚き火の前に座り何時間もメモをとり、あいづちをうち、問を発した
- 「罵倒したかったら罵倒してください。出ていけというなら出ていきましょう」
- 外部からやってきて、意見を求めた人は居なかった
- それまでにやってきた仲裁人は「戦いをやめろ」と言っただけだった
- 彼女の好奇心、自信を備えた謙虚さにウガンダの人は驚いた
- 「悪魔のような行いをする人でさえ、話を聞いてもらいたがっているんですよ」
- リーダー、ジョセフコニー
- 反政府武装勢力リーダーとの和平交渉任務
「ただ聴いてもらう」だけで人は安心して率直になれる
- 親身に公平な態度でじっと耳を傾ける人と対話することで、人の不安は軽減され、自己防衛が緩和される研究結果
- 思考の矛盾を避けようとするプレッシャーをあまり感じなくなり、それにより自分の意見を熟考し、心のニュアンスに気づき、思ったことを率直に述べられるようになる
- スティックをもった人だけに発言権が与えられ、他の人は傾聴するというルールでグループの議論を実践する
- 考え方が多面的になり偏ることがなくなった
- 発言者の主張を正しく理解するようにつとめ、主張に興味をもち、遮ることなく、数分間黙って聴く
- 多くの人は自分を賢く見せようとするが、優れた傾聴者が賢くみせようとするのは相手だ
- 優れた傾聴者は、相手が自身の考えを謙虚さ・疑念・そして好奇心をもって掘り下げるように手助けする
- 相手は自分の考えを表現する機会を得て、新しい見解を見出すことが多い
- 「言葉に出すまで、人は自分が何を考えているかわからない(EMフォースター)」
- 相手は自分の考えを表現する機会を得て、新しい見解を見出すことが多い
- (相手が熱心に聞き入っていると感じることで)自分は最も誠実で、ねいみんで、この上なく魅力的な人間だと思うようになる
- ある調査によると、従業員からワーストリスナーと評価された経営者のうち94%は「自分は非常に良い聞き手である」と回答している
- ある世論調査。女性の1/3が「人間のパートナーよりペットのほうが良い聞き手である」
- 患者は自身の症状の説明に29秒必要だが、医者は11秒で話を遮る
- マリーエレンは違う体験をした(ワクチンウィスパラー)
- アルノー医師は彼女の話を聞き、情報元がインターネットであり、相反する情報が氾濫していて、ワクチンが安全かどうかを判断するのは難しいと応じた
- 彼女が何を信じているのかようやく見えたので、彼自身の専門知識に基づいたワクチンの情報を共有していいか訪ねた
- 「許可を得ることなく情報を提供すると誰も話をきいてくれなくなる」(アルノー医師)
- 話し合いの終わりにマリーエレンに告げた
- 「お子さんに予防接種を受けさせるかどうか決めるのはあなたです。あなたは正しい能力を見つける能力も強い意志もお持ちですから」
- こちらが耳を傾けることで、相手は誰にも邪魔されることなく熟考することができる。思いやりや尊敬の念を相手に伝えることができる
- マリーエレンの心配を軽くあしらうのではなく、より良く理解しようと努めるアルノーの態度に、マリーエレンは自分や自分の息子への気遣いを感じることができた
- 相手の話に耳を傾けるということは、最も貴重で希少な贈り物である「関心」を向けているということ
- マリーエレンは違う体験をした(ワクチンウィスパラー)
- 優れた傾聴者は、相手が自身の考えを謙虚さ・疑念・そして好奇心をもって掘り下げるように手助けする
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